設立趣旨

2.設立までの背景と経緯

農山村(中山間地、山地)でおこっている、人工林の放置、田畑の放置、農林の担い手の減少、山仕事・農的営み・自然との共生による自給的営みにともなう技術・文化の消滅などの問題は、農山村住民だけでなく都市住民自身の問題として受け止められることによってのみ「解決」の展望が見えてくる課題である。
全人口の数パーセントの人々が維持してきた農山村の山・田畑・道・水路がはたしてきた公的な役割(土砂崩壊流出防止など環境的な役割、水源保全、農林水産資源の自給など)を都市住民が認識し、上記農山村でおこっている課題を世論化することで森林と田畑などの保全についての適切な施策を都市住民の理解のもとでなされることが必要である。
世論形成という点では、市民自身が農山村にかかわる「体験」を通して農山村資源(森・田畑・文化・技術・人など)の価値を意義を見出し、市民自身が自主的に市民自身の力で農山村での「体験」を組織していくことが重要なことである。

この農山村資源を活かした主な市民(都市と農山村市民)サイドの取組みは以下の4つの種類があろう。

1.人工林保全を主たる舞台とした森林ボランティアの取り組み
 矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協と略)に参加してくる森林ボランティアについては、今後も自主的な参加者・参加グループの増加が予想される。矢森協が示す理念と確かな技術、安全配慮をベースとしつつ、多くの都市住民と山主による様々な特徴をもつバラエティにとむ個性的で豊かな様々なグループ活動が期待される。

2.農山村の人的・環境的・伝統的な資源を活かしたエコ・グリーンツーリズムの取り組み
「足助炭焼き塾」「自然農in足助」「足助野林雑木林観察会」のような農山村体験・自然発見・スローライフ発見の様々な個性的なエコ・ツーリズムが今後幅広く「発掘」され市民サイドの取り組みを高め、それに支えられながら数多くの様々なレベルでの地域スロービジネス(自営)が生まれていくことを期待したい。

3.中山間地・山地における田畑を主たる舞台とした農的市民の取り組み
 この取り組みで重要なのは、農家へのお手伝いにとどまることなく、意欲に応じて自立していくことである。もちろん、自立の規模、レベルは様々であろう。自立の単位も個人・グループ・家族など様々なパターンがありうる。規模にもよるが、時間の確保や地元の支援(毎日の水管理など)、機会の確保やメンテナンス、借地の確保など自立させていく条件をクリアーしていくことが課題であろう。

4.近くの山の木で家をつくるなど「木づかい」の市民サイドの取り組み
 個々の営業セールスではなく、森林の公的役割・地元林業が成立することの大切さ・地産地消の良さなどを理解した「賢い消費者」を多く生み出す取り組みである。食材分野では消費者の取り組みが盛んであるが、木材分野でも消費者の取り組みが必要である。食材分野の消費者の取り組みの盛り上がりが、良心的な食品業者や農業者を結果として存続成立させているように、木材分野での消費者の取り組みが、結果として、良心的な木材関連業者や建築業者、林業家を存続成立させることにつながることを期待したい。

以上の4つの市民サイドの取り組みは相互に分野を交差させながら、関連しあいながら多くの自覚的な市民を育て、農山村で現象している問題を都市住民の理解と参加によって解決していく展望をみいだしていくであろう。
その市民サイドの取り組みを「啓発・教育」の側面から支援していくのが特定非営利活動法人都市と農山村交流スローライフセンターである。

これは財団法人中部産業活性化センターが平成16年度3月に示した「豊田加茂地域振興計画策定調査報告書」−地域融合産業の創造に向けてーで次のようにふれている。

「農山村資源を活かした都市と山間部との交流を促進し、人々が自然との関わりで培われた文化に触れることで新たな自分の価値を見いだし自然と共生した新しいライフスタイル(スローライフ)を実現できるよう支援するコーディネート組織が求められる。すでに当地域では、こうした目的で取り組みが行われており、その組織・個人をネットワークしてNPO法人「都市と農山村交流スローライフセンター(仮称)」を立ち上げる。当面は、「山づくり」や「木づかい」に関わる体験プログラムやイベント・学習講座を開催する中で、広く一般市民に豊田加茂地域の山の現状について伝えるとともに、山里文化の総合的な魅力を発信する。」
上記報告書を作成検討してきた林業部会のメンバーの幾人かが、この報告書を実践し実現する立場で、この地域の森林ボランティア運動・「木づかい」市民活動・自然観察保全活動・市民農的活動の成果に支えられ、それらの運動のリーダーたちとともに特定非営利活動法人都市と農山村交流スローライフセンターの設立を発起し申請することとなった。

平成16年10月14日
 特定非営利活動法人 都市と農山村交流スローライフセンター


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